高等学校の学校経営上の課題とコンサルテーションのニーズについて、質問紙調査の結果を分析した。共通する課題としては、予算不足、教職員の意識が変わらないこと、予算の裁量性が乏しいこと、特定の専門性を有する職員が不足していることなどが挙げられている。それに対応して教職員の意識変革に対する知識ニーズと支援ニーズが高くなっている。また、効果的な学習指導についての知識ニーズと授業改善・学習指導に関する支援ニーズも全般的に高い。また、学校経営上の課題及び知識ニーズと支援ニーズは、普通科と専門学科で異なるとともに、普通科でも難関大学への進学の重視度によって分類したタイプによって異なることが明らかになった。 研究者のコンサルテーション活動、とくにスクールリーダー教育の場面におけるその手法について報告会を行うとともに、スクールリーダー教育を行っている研究者に対するインタビュー及びコンサルテーション活動に関する事例検討を実施し、スクールリーダー教育の開発課題を明らかにした。とりわけ、学校経営コンサルテーションとスクールリーダー教育の基盤となる学校管理職の専門職基準の必要性、その内容、活用方法等について明らかにした。 学校経営コンサルテーションについてシャインのプロセスコンサルテーションの理論を援用して検討を加え、広義のプロセスコンサルテーションが学校変革を促す際にも有効であると考えられることを明らかにした。 以上の内容及び前年度の研究成果をまとめて報告書(『学校経営に関わるコンサルテーションのニーズ・手法・理論に関する研究』全112頁)を作成した。
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