研究概要 |
1.平成19年度に全国の小・中・高・特別支援学校を対象に実施した「成果主義調査」(質問紙調査)のフォローアップとして集約的な聴き取り調査を行い、これまでの研究成果のまとめを行った。そのまとめはBritish Educational Research Associationの年次大会(2009.9.2-5, University of Manchester)において報告した。さらに、その口頭発表に加筆修正した論文をJournal of Education Policyに投稿し、掲載が決定した(vol.25, No.3)。論文の内容は、新しい教員評価が学校における教員の関係性及び自己(アイデンティティ)に与えている影響をperformativityという概念を用いて分析したものである。performativityを政策によって学校の外側から与えられるものとする見方(work upon model)で捉えるだけでは十分でなく、教職員の関係性を通して内側から作用する見方(work through model)の意義を具体的に論証した。 2.学校運営組織及び学校と保護者・地域住民との関係に関わる改革の実証研究として、前者については平成21年度からはじまった東京都の主任教諭制度に対する教員意識調査、後者については学校運営協議会と学校評議員の詳細な実態調査を実施した。これらの研究成果は、既にその一部を報告している(「東京都の教員は主任教諭制度をどう受けとめたか」『東京大学大学院教育行政学論叢』第29号)が、引き続き国内及び国際学会において発表することになっている。 3.海外の研究者との共同研究では、連携研究者の一人であるMartin Thruppが2カ月間客員教授として東京大学大学院教育学研究科に滞在したことを活用し、学校と教育を事例とする公共性と公共部門・サービスの変容の理論的研究の総括を行った。この成果も国際Journalへの投稿を予定している。
|