研究課題/領域番号 |
19330172
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
鈴木 晶子 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (10231375)
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研究分担者 |
小田 伸午 京都大学, 高等教育研究開発推進センター, 教授 (10169310)
西平 直 京都大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (90228205)
今井 康雄 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (50168499)
金森 修 東京大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (90192541)
生田 久美子 東北大学, 大学院・教育学研究科, 教授 (80212744)
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キーワード | わざ / 教育学 / 運動生理学 / 認知科学 / 学習 / 伝統芸能 / 思想史 / スポーツ科学 |
研究概要 |
リズミカルなヒトの両手協調運動、およびその構成要素となる片手運動の制御機構を解明すべく、ドラマーのパフオーアンスに関する比較実験を実施し、道具の使用がヒトの運動機能に与える影響や、熟練音楽家の運動スキル獲得機序について新たな知見を提供した。また、文化の違いが身体パフォーマンスに与える影響を比較調査すべく、フランス・アフリカ・ドイツ・日本のサッカー指導の現場調査・分析・発表をおこない、一定の成果を得た。さらに、モーションキャプチャで記録したハワイのフラの身体動作をデータ解析するとともに、「わざ」の熟練・伝承に必要な知識・身体技法について聞き取り調査をし、伝統芸能における「わざ」の習得を構造的に解明し、成果の一部を発表した。 伝統的な「わざ」の修練・継承においては、(1)目習いと手習いの連動、(2)修練と継承の一体化が軸となっているという仮説を立て検証したが、近代スポーツ、西洋音楽演奏、伝統技芸・技能、伝統芸道・民俗芸能のいずれのフィールドにおける調査研究においても、この二つの軸を有することが確認された。だだし、(1)目習いと手習いは従来、視覚と身体の連動という捉え方がなされてきたが、目習いにおいては単に視覚のみでなく様々な運動感覚が統合的に働くとともに、また手習いにおいても自己の身体動作の実際と、身体イメージとの間を繋ぐために身体のみならず表象の力が大きく関与していることが明らかとなつた。(2)修練と継承の一体化については、修練における経験の内在化が常に継承行為の一部となっていること、つまりわざの修練における創造的模倣(ミメーシス)が、経験の再構成において広義の制作的行為(ポイエシス)へと移行していく機構が認められることが明らかとなった。本科研はここで終わるが、今後はこの転換機構に焦点を絞った調査研究を行うことが「わざ」の学習術理解明のための最重要事項となると予想される。
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