研究課題/領域番号 |
19330176
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
矢野 裕俊 大阪市立大学, 大学教育研究センター, 教授 (80182393)
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研究分担者 |
大久保 敦 大阪市立大学, 大学教育研究センター, 准教授 (60335776)
添田 晴雄 大阪市立大学, 大学院・文学研究科, 准教授 (30244627)
木原 俊行 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (40231287)
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キーワード | カリキュラム論 / 学校教育 / ポスト義務教育 / 高大接続 / 人間力 / ジェネリックスキル / 汎用的能力 |
研究概要 |
研究最終年次の調査研究により、次の通りの研究成果を得た。まず、文献研究をとおして人間力と、社会人基礎力など関連諸力の概念の比較検討し、共通の要素に注目しつつ、人間力とその育成プログラムをとらえる視点を明確にした。それは、人間力という広範囲の能力概念のうちで、学校において行われうることに注目するということである。カリキュラムとして位置づけられている教育活動において、学習が教室での授業以外の形態で行われ、プロジェクト遂行の過程で身につけられる課題解決能力、他者とつながり協働する能力、市民としての自覚の3つに焦点を当てることであった。浮かび上がってきた学習は、(1)生徒(学生)の主体的な行動によって展開される学習、(2)事業(プロジェクト)を展開させる中で考えをまとめたり深めたりすることが期待されている学習、(3)グループやチームによる活動を含む相互性のある学習、(4)地域社会との接点をもった学習、の4つであった。 今年度は、過去2力年の学校調査(訪問・質問紙)の結果を総括し、それに新たな調査を加えて、人間力育成プログラムに求められる要件をまとめた。教科の領域では、「リサーチ能力」を育てることが重要であること、用意された結果に到達する学習ではなく、予想を超えた事態にも直面することが避けられないような学習を学校外の様々な機関・組織とのかかわりもまた重要であることがわかった。それをふまえると、学校や地域の行事やイベントなど事業性をもったプロジェクトを遂行する過程には人間力育成のための大きな教育的可能性があるといえる。新たな教育プログラムを構想するのではなく、既存の教育活動として展開されていることを、前述の視点からとらえ直し、再設計することにより、人間力育成プログラムを作ることが可能である。
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