研究課題/領域番号 |
19330186
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
浜野 隆 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 准教授 (00262288)
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研究分担者 |
内田 伸子 お茶の水女子大学, 大学院・人間文化創成科学研究科, 教授 (70017630)
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キーワード | 初等教育 / 幼児教育 / 就学前教育 / 住民参加 / ベトナム / カンボジア / 基礎教育 / 幼小連携 |
研究概要 |
本年度は、補足的なデータ収集とその分析・報告書作成(日本語、英語、ベトナム語)を行なった。これまで実施した調査の分析、幼児発達・基礎教育に関する調査結果を国内外の国際教育開発専門家らと共有し、研究者、国際機関との協議を行ない、研究成果発表をおこなった。現地調査は、カンボジアの基礎教育およびECD(幼児発達)に関して実施した。 カンボジアECD調査では、異なる運営手法をとる2つのコミュニティプレスクールについて、就学レディネスの向上という観点からいずれがより効果的であるのかを探ったところ、まず、プリテストの結果では、NGO支援によるCPS-Kが公立と同水準の結果を挙げ、逆にユニセフ支援のCPS-UはCPS-Kに比べれば、より劣っていることがわかった。 他方、ポストテストではCPS-Uが就学レディネス水準(特に知的発達の領域)を大きく伸ばし、CPS-Kの水準に追いついた。保健衛生や栄養面での活動も含んだ統合的なアプローチや小学校教諭による巡回指導が効果的であることが明らかになった。基礎教育調査では、政府の教育サービスの提供に限界がある中、地域社会が基礎教育とりわけ初等教育の開発に大きな役割を果たしており、中でも仏教寺院はカンボジア農村における地域社会の核として初等教育をはじめとする社会開発全般に中心的な役割を果たしていることが明らかになった。こうした地域社会やローカルネットワークによる草の根の教育開発実践は、政府の開発計画や教育計画にも整合的であり、政府の限界を補完・代替しているため、その重要性を認識することが重要である。また、開発計画やプロジェクトの立案、そして開発協力を行う際には、公的な政策や行政システムにのみ目を奪われるのではなく、こうしたカンボジアの地域社会の現状をみすえ、しっかりとした社会分析をおこなう必要があることが示唆された。
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