近年、大学教育の改革をめぐる動きが盛んである。それらは、大学の「教育力」を育成する試みであるということができる。大学の「教育力」を要素に分解すると、「大学力」「教員力」「職員力」「学生力」という4つからなる。「大学力」は、大学の伝統、地域的環境、規模、風土、偏差値、チャーター、卒業生の実績、同窓会などからなる大学の総合的な「教育力」である。「教員力」は、主に教員が授業を通して直接学生に影響するものであり、教員の学問的業績、研究・教育意欲、授業内容、授業方法、成績評価、学生に対する接し方、人柄などが、「教育力」として働く。「職員力」は、教師以上に学生と直に接する機会の多い職員の学生への影響力である。「学生力」は、仲間の学生が持っている教育力である。クラスの人間関係、部・サークルでの仲聞、先輩-後輩関係、異性との関係、周囲にいる学生からの影響を受け、学生は4年間で大きく変容する。 以上のような問題意識に基づき、大学の教育力を実証的に明らかにしようと考え、文献研究や大学職員へのインタビューや大学生へのアンケート調査を実施し、中間報告書を作成した。全体はV部よりなる。 I部は、2007年実施の「14大学学生調査」を時系列ないし大学類型別に分析したもの。 II部は、同「14大学学生調査」の、個別テーマに焦点をあてて分析したもの。 III部は、同「14大学学生調査」以外のデータで、学生の実態、学生文化を考察したもの。 IV部は、大学のキャリア支援や大学職員のSDを考察したもの。 V部は、資料編として「学生調査」の調査表、単純集計、自由記述を収録した。
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