研究概要 |
本研究の目的は、転換期の大学における学生の教育評価を、学習成果の達成にのみ焦点化するのではなく、現在の学生の家庭環境、経てきた学習背景、若者文化等が及ぼす影響を解明し、その上で大学での学習における学習意欲、動機づけ、学習態度や習慣などの情緒的な要因を向上させることにつながる教育評価の開発をおこない、そうした調査を継続的に実施することで日本におけるIR(機関研究)の基盤を構築することにある。今年度は新たに新入生調査(JFS2008)を開発し、2008年6月から7月にかけて163大学を対象に19661人に実施した。現在、2008年度版JFSの結果を分析中である。 前科研同様に教育評価(アセスメント)研究が進んでいるアメリカにおけるアセスメントの現状と課題を把握することで、本研究視角に国際比較的側面を加味するという計画を立てた。この計画をベースに本年度は研究会を4回実施し、各研究会において、昨年度実施した学生評価の進行状況、およびそれぞれの研究発表、海外での発表についての報告もおこなった。5月にはアメリカ機関研究学会(シアトル)で関連した調査内容について発表したが、この発表においては海外の共同研究者(UCLA HERIジョン・プライヤー氏)との合同発表となった。同年5月「JCSS2005年・JCSS2007年」の成果を「日本高等教育学会」において課題研究として設定された中で発表を行った。また、10月には国内共同研究者とともに、JCSS2007,JFS2008を用いてIRをどう進めていくかという内容でシンポジウムを同志社大学で開催した。研究代表者による学会発表回数は国際学会を入れると2回、研究会や講演での研究代表者による発表の合計は2007年度5回になる。2008年11月には韓国のヨンセイ大学からの招待を受けて、本研究成果の講演をおこなった。 最も大きな成果としては、科研の研究成果をもとに編著1冊、学会誌での1本の論文発表、査読付き論文2本を発表した。学会発表は課題研究が2回、国際学会での発表が1回、学会での基調講演を1回行った。 なお、本成果をベースにして、同志社大学内に「高等教育・学生研究センター」を設置した。
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