本研究は平成16~18年度の基盤研究で得られた知見、「大学の環境と学生の成長」を国際比較の視点から(1)ユニバーサル化の進展している諸国であるアメリカ、オーストラリア、カナダ、日本の大学生を対象にCSSあるいはJCSS調査の英語版を実施することにより、各国大学生の共通項と差異を明確にし、次に(2)21世紀型学生の情緒的・認知的成長を促進するあるいは支える教育環境、すなわち各国の教育カリキュラムや教育方法の機能について検討する。この命題においては、過去の学生研究と国際調査の知見から「21世紀の高等教育においては、学生の情緒的・認知的成長を促進するために、従来とは異なるカリキュラム改革、および教授法が導入されているのではないか。もしそうであるとするならば、上記の国々においてどのような教育カリキュラムや教授法が実施されているのか。そしてそれらはどのように教育効果をもたらしているのか。」といった仮説と疑問が浮上してくる。本研究は上記の仮説および疑問を解明することが目的である。 平成21年度は本研究の最終年度にあたり、JFS2008の分析に関連した研究会を3回実施した。そのうち1回は海外ヨンセイ大学からの共同研究者である、李教授を招聘し、韓国の学生についての内容での研究会となった。6-7月には、JFS2009を約8000人を対象に実施し、10-11月にはJCSS2009を約4500人を対象に実施した。両調査については現在データがそろい、これから分析に取り掛かる。研究分担者、協力者とともに国内学会(日本高等教育学会、日本教育社会学会)で発表し、海外の学会(AIR)では研究代表者が、UCLAのジョン・プライヤー氏(HERI副所長)との共同発表をおこなった。
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