基盤的教育研究経費の定義・内容に関する理論的・実証的な研究として、(1)大学の教育研究活動を支える政府予算・補助金の算出根拠に関する国際比較研究、(2)教育研究の単位コストに関する実証的研究、(3)国公立大学予算の積算根拠に関する歴史的研究の3方向からアプローチする。 (1)政府予算等の国際比較研究:海外において政府から大学への予算や補助金額は、大学の基盤的活動に必要な財源を基礎として算出されていると判断されるため、その実態を各国間で相互比較し分析することにより、基盤的教育研究経費の定義を明確にする。 (2)単位コストの実証研究:基盤的教育研究経費として「望ましい水準」を検討するにあたっては、個別に大学特性に応じて算定するのではなく、各大学に客観的・統一的な尺度を有することが政策的に必要とされる。そのため、実際の教育研究活動にかかる「学生一人当たり教育費」あるいは「教員一人当たり研究費」といった単位コストの実態を検証する。 (3)国公立大学予算積算根拠の歴史的研究:法人化前の国立大学では、物件費に関する単位コストとみなせる「教官当積算校費」、「学生当積算校費」、「教官研究旅費」という科目で予算額の積算がなされていた。また、公立大学に対する財政措置として地方交付税制度があり、経常的な大学費について学生当たりの「単位費用」が定められている。これらは、単位コストに基づく算定式とみなすことができるから、「校費」、「単位費用」の根拠を探ることにより基盤的経費の定義に迫る。
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