研究概要 |
初年度(平成19年度)にあっては,以下の研究に従事し,成果を得た。成果については,一部公刊されたが,残りについては,次年度中の公刊を目ざしている。 1 先行研究文献による基礎研究 各国で研究が推進されているリテラシー論やその関連分野に関する先行研究文献にあたり,リテラシー論における基礎的な領域に社会文化的な問題意識があり,アプローチとしては,社会構成主義の影響を多大に受けていることが明らかになった。 2 先行研究文献による教材論研究 各国で使用されている教科書をはじめとした各種教材を対象とした実態調査を行った。教材にあらわれた教科内容の特徴や指導(学習)方法論を析出するとともに,その国ごとのナショナルカリキュラムとの関連や言語観・教育観との関わりを含めた総体な特徴について考究した。 3 諸外国における実態調査 アメリカ合衆国・イギリス・オーストラリア・スペイン・ニュージーランドにおける小・中・高等学校,さらには教員養成を行っている大学などにおいても実態調査を実施し,それぞれの教育環境、教育条件・教師・教材・教育方法・評価などの具体的なあり方について現地調査を行った。また,現地専門家との意見交流を行い,教育現場において可視化されない部分についても議論を行い,高度情報社会に最適化させたリテラシーにとっての必要十分条件としてどのような事項に留意が必要か検討を行った。 4 わが国における新たなリテラシー実践に関わった各種提案 以上の成果などを踏まえ,PISAへの対応を含めたわが国の国語科としての対応の可能性について,バタフライ・マップ法やリーガルリテラシーなどといった具体的な提案を行った。また,新学習指導要領に関して,その特徴である「社会生活」や「言語文化」を具体化させるうえでどのような教育的インフラストラクチャーが必須であるか,本研究としての従来の成果に照らして考察を進めた。
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