本研究は、即戦力と高度な指導力を持った技術科教員の指導能力評価・認定システムを構築し、新たな競争的教育環境を創成しようとしたものである。昨年度は、教師を目指す学生の力量を計ることを狙いとして、日本産業技術教育学会主催の学習成果を定量評価する認定試験を全国的に初めて実施し、一応の成果を得ることが出来た。この認定試験の問題は日本産業技術教育学会が作成した修得基準に基づいて作成された。この認定試験は、基礎力(学会が作成した修得基準に基づいた専門知識とスキルの力)、構想実現力(目的的設計による製品を設計製作する力)、指導計画力(教える力、指導する力)の3段階で構成されている。 本年度は、前年度の反省から、基礎力試験はそのままとし、構想実現力は作品コンセプトと図面を描く試験とし、指導計画力は、試験会場で監督者の前で模擬授業を実施し、その様子をビデオ撮影し、そのテープを審査した。昨年以上の受験生が参加し、一応の成果を得ることが出来た。試験問題の作成、1次・2次試験の実施等における学会分科会、支部組織、各大学等の実施組織体制づくりに成果が見られた。次年度の認定試験実施のための問題作成を年末から学会7分科に於いて作成し、年度末までに問題の集約がなされた。修得基準との比較を進めるために、全国の教育委員会が実施している最近の教員採用試験の内容を収集した。本年度は、教員を目指す諸大学の学生や院生が一堂に会して競技を行う大学生学習成果競技大会の準備のための検討を行った。また、認定試験の結果の評価のための体制づくりについても検討を行った。更に、修得基準の再評価の体制づくりについても検討を行った。
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