研究分担者 |
池野 範男 広島大学, 教育学研究科, 教授 (10151309)
中西 仁 京都学園大学, 人間文化学部, 准教授 (30411010)
藤原 孝章 同志社女子大学, 現代社会学部, 教授 (70313583)
吉田 正生 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (20261373)
吉村 功太郎 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (00270265)
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研究概要 |
本研究の目的は,変質する21世紀を担いうる市民の育成をめざず教育を,英国シティズンシップ教育の批判的摂取に基づいた小中高一貫カリキュラムの作成を通して,検討・構想することにある.そのために,研究初年度である本年度は,主としてカリキュラムの大枠となるシティズンシップ教育概念フレームワークの検討と,日本国内におけるシティズンシップ教育の現状やカリキュラム・教材の調査を行った. 特にシティズンシップ教育の概念フレームワークについては,まず,シティズンシップ育成をめざす授業が「社会を分かつ論争問題に対して個人的・集団的,社会的な判断をせまるもの」であり,判断とその実行においては「責任」が鍵概念となることを確認した. 次いで「社会的・道徳的責任」「政治的リテラシー」「コミュニティとの関わり」をシティズンシップ教育の基本的ストランドとして定め,これら三つのストランドの各々について,どのようなグランドデザインが描けるかを,スコープとシークエンスの観点から検討した.目下,「自由主義」「市民強主義」といった政治思想的な形態,「アイデンティティの形成」「参加力の育成」といった目標,「ミクロ」「マクロ」といた世界観などがスコープの候補に,発達・成長に伴う「役割」や「空間」の拡大がシークエンスの候補になっている. 日本国内におけるシティズンシップ教育の現状については,主として首都圏の学校(お茶の水女子大学附属小学校や品川区教育委員会,横浜市教育委員会管轄下の小学校)の研究発表会等において担当者と情報交換するとともに,資料を収集した.現在のところ,これらの学校におけるシティズンシップ教育においては,前述した「社会的・道徳的責任」「政治的リテラシー」「コミュニティとの関わり」のすべてを包含したカリキュラムは見あたらず,本研究の必要性と有効性が確認された.
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