研究課題
本研究は、IEAが実施したCitizenship Education Study(1994-2002)のテスト問題を用いて、日本の中学校3年生を対象にその市民性を調査し、その結果をIEA調査参加28ケ国の結果と比較をすることにより、日本の子どもの市民性形成の状況を明らかにし、その特質と問題点を検討するものである。初年度である平成19年度は、第1に、研究方針の確認、役割分担等を決定し、まず日本語版調査問題の作成を行った。続いて、調査地域ごとに調査実施校を選定し、調査実施校との調査目程等を調整して調査を実施した。この調査をもとに、調査問題や調査実施方法等について吟味し、次年度の調査に向けた準備も行った。第2に、IEA市民性国際調査について、その意義、方策、結果などについて検討した。具体的には、IEA調査の報告書を検討するとともに、国際調査のとりまとめに関わった研究者を招聘し、講演会を開催するとともに討議を行った。また、IEA報告書の翻訳ならびに内容検討を行い、本研究の進め方の検討の一部とした。第3に、第2年度ならびに第3年度に予定している外国調査の準備として、調査参加国であるアメリカ合衆国ならびに連合王国における市民性教育について文献研究を進めた。以上3点の研究を実施することにより、第1年度の研究成果としては、日本の子どもの市民性についてのデータ収集が研究全体で意図している量の4割程度できたこと、IEA調査ならびに対象国での市民性についての理解が一定程度すすみ、日本の子どもの市民性の分析に対する示唆を得たことが挙げられる。