本研究は、IEAが実施したCitizenship Education Study(1994・2002)のテスト問題を用いて、日本の中学校3年生を対象にその市民性を調査し、その結果をIEA調査参加28ヶ国の結果と比較をすることにより、日本の子どもの市民性形成の状況を明らかにし、その特質と問題点を検討するものである。 第2年度である平成20年度は、以下の5点の研究を実施した。 第1に、前年度に試行的に行った調査に基づき、日本語版調査問題の再検討と調査の実施方法の再検討を行った。続いて、調査地域ごとに調査実施校を選定し、調査実施校との調査日程等を調整して調査を実施した。 第2に、前年度に試行的に行った調査結果について、さまざまな分析とその解釈を行い、日本の子どもの市民性形成についての仮説的な結論を得た。 第3に、IEA報告書の翻訳ならびに内容検討を行い、本研究の進め方の検討の一部とした。 第4に、米国において市民性形成を中心的に担う社会科教育ならびに歴史教育の研究者を招聘し、ミニシンポならびに講演会を開催し、同国における市民性教育についての知見を深めた。 第5に、諸外国の市民性教育ならびに同研究を調査した。 以上5点の研究を実施することにより、第2年度の研究成果としては、日本の子どもの市民性についてのデータ収集が研究全体で意図している量を達成したこと、IEA調査ならびに対象国での市民性についての理解が一定程度すすみ、日本の子どもの市民性の分析に対する示唆を得たことが挙げられる。
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