研究課題
1. 自閉症スペクトラム障害児(以下ASD児)に忌避されやすい音の特性とその原因の解明を目的として、茨城大学附属特別支援学校及び茨城県内の小・中学校の教員・保護者を対象に実態調査を行った。その結果、聴覚過敏と対人関係の特質には関係性があることが示唆された。そこで21年度の研究では、聴覚過敏、音の受容特性、対人関係の特質、の三者関係を検討することとした。2. 茨城大学及び文教大学において平成19年度に購入した聴覚/視覚刺激提示装置を用い、音声判別、表情判別、視線認知等の課題を作成し、60名のASD児と60名の定型発達児を対象として認知神経科学的検討を実施し、得られた成果を内外の学会で報告した。事象関連電位の研究から、ASD児は受動的注意条件で定型発達児に比し言語音の音高処理には問題はないが、音素処理に困難がある可能性が示され、音声処理において、ASD児は定型発達児とは異なる大脳半球左右機能差が認められた。3. 連携研究者の松井智子氏及び研究協力者の三浦優生氏とともに、ASD児及び定型発達児を対象としてプロソディーの理解の差異について検討した。その結果、ASD児においては、発話を聞いた直後の段階ではプロソディーの意味処理に困難があることが認められ、遅延的な処理によって音声の理解が補われている可能性があることが示唆された。4. 聴覚過敏のあるASD児に音声で指示する際の配慮事項に関して、これまでに得られた情報を、茨城大学附属特別支援学校でのASD児の指導に活用した。
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Brain and Cognition 67
ページ: 127-139
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