研究課題/領域番号 |
19330210
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
東條 吉邦 茨城大学, 教育学部, 教授 (00132720)
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研究分担者 |
新井 英靖 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30332547)
尾崎 久記 茨城大学, 教育学部, 教授 (40092514)
勝二 博亮 茨城大学, 教育学部, 准教授 (30302318)
谷口 清 文教大学, 人間科学部, 教授 (50200481)
初塚 眞喜子 相愛大学, 人文学部, 教授 (10300211)
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キーワード | 自閉症スペクトラム障害 / 音声処理 / 聴覚過敏 / 認知神経科学 / プロソディー / 対人関係 / 教育的支援 |
研究概要 |
自閉症スペクトラム障害児(以下ASD児)60名と定型発達児70名を対象に、音声認知、視線認知等を中心とした認知神経科学的研究を実施し、得られた知見を内外の学会で報告した。一連の研究から、1)ASD児では、発話者が音声を発した際に発話者の見ている物に対する選好性が定型発達児に比べて弱いことが示唆されたが、視線を参照できないわけではないことも明らかになり、また、2)ASD児では意識的・遅延的処理によって音声のプロソディーの理解が補完されている可能性が示唆され、メタ言語的な知識の学習は、ASD児の言語コミュニケーションの円滑化に効果をもたらす可能性が推測された。次に、事象関連電位を指標とした研究からは、3)音声の提示により視覚刺激への選択的注意処理過程が影響を受けること、4)ASD児は音声の音高変化には敏感だが、音素処理が未発達であり、聴きなれない音声に対する能動的注意配分が困難なことが示唆された。 一方、ASD児とASDではない障害児(合計110名)を対象とした調査研究からは、5)非ASD児と比べ、ASD児は物に関連する音より、人に関連する音に対して過敏に反応しやすく、回避行動を起こす傾向が強いこと、6)教員や支援者との人間関係が、ASD児の聴覚過敏の緩和に大きく影響すること等が明らかになり、認知神経科学的研究および調査研究で得られた諸知見を参考にして、茨城大学附属特別支援学校等で、聴覚過敏のあるASD児への教育的支援に関する実践研究を実施した。
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