研究概要 |
階数有限の自由加群の有限生成部分半群について. 対応する錐を考えると, 半群環の上の有限生成加群の局所コホモロジー群が, 錐の面全体のなす圏からのある反変的な関手による複体のコホモロジー群に等しくなることが知られている. 石田は同様のことは射影的トーリック多様体上の準連接層のコホモロジー群についても成り立つことを確認した. 実際, このようなコホモロジー群は, ある半群環上の加群の局所コホモロジー群の直和因子となっている. 正規半群環については, 柳川浩二による平方因子をもたない加群の局所コホモロジー群についての理論がある. この理論と藤野による射影的トーリック多様体上の微分層のコホモロジー群に関する消滅定理との関係についても前述の複体を用いて解明した. 研究成果の発表としては, 2008年9月に草津での研究集会と, 2008年11月の唐津での可換環シンポジウムに参加し, 後者についてはすでにその報告集も発行されている. 尾形はアンプル直線束の随伴束が大域切断をもち, かつさらにその随伴束が正でないとき, この直線束の射影正規性の別証明を与えた, この手法の応用として, 3次元のゴレンスタイン・トーリック・ファノ多様体上のアンプル束がある条件を満たすとき射影正規であることを証明した.
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