研究概要 |
正規と限らないアフィントーリック多様体にも実空間の錐が対応する.錐の面全体の集合は包含関係について有限な順序集合となっている.錐の面全体から加群の圏への関手があれば,これに対応する複体を作ることができる.錐が別の錐に内部に交わる部分空間との交わりである場合には,第二の錐でできる複体と第一の錐での複体に関係が生ずる.石田は第一の錐で与えられた加群への関手の第二の錐への引き戻しを定義し,これらの複体が互いに擬同型であることを次元の差による数学的帰納法で証明した. 尾形は,トーリック多様体上のアンプル直線束の正規生成性について研究した.今年度は,3次元の非特異トーリック弱ファノ多様体上のアンプル直線束がすべて正規生成であることを証明した. 連携研究者の高橋は有理曲線および楕円曲線上の3次元射影空間束のある種の相対2次超曲面の分類に関して結果を得た.足利は安定曲線族を持つファイバー曲面について,吉川謙一氏と共でドゥリーニュ・マンフォードコンパクト化上に符号数因子を定義し,それを有理線形同値の中で有用な形に書き直して,もとのファイバー曲面に具体的に引き戻すことで良い定式化を得た.その他の連携研究者もそれぞれ担当分野について,トーリック多様体理論の応用に関連した研究を行い成果を得ている. 2009年11月に関係する中国からの研究者を招き東北復旦代数幾何合同シンポジウムを開催し,本研究の研究分担者や連携研究者を含め互いに研究成果の発表を行った.
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