研究概要 |
石田は実空間の扇にについて,半群環を拡張した可換環を考え調べ,その双対化複体の記述を与えた.さらに実空間の有界とは限らない凸多面体による分割から得られる局所有限型のスキームについても調べた.また,4つの単項式の和で定義される代数曲面のうち,対応する四面体面がすべて単純な場合の体積と幾何種数の関係について調べた.すでに得ていた種数公式により計算機を用いてこの代数曲面の幾何種数を計算したところ,体積の6倍が2以上2500以下の範囲に幾何種数gが1以上の四面体が同型類として82,996,779個あり,12gがすべてn-8と4n-4の間にあることがわかった.すべてのnとgについてこの不等式が成り立つことが予想される. 尾形はトーリック多様体上のアンプル直線束のベリーアンプル性と正規性について,対応する整凸多面体が2つの多面体のミンコフスキー和になっている場合について調べた.n単体と線分のミンコフスキー和の場合3次元の幅1の多面体の正規性の判定法を見つけ,4次元以上ではベリーアンプルな多面体でnの2乗倍しても正規でない例を構成した.また,非特異多角形と線分のミンコフスキー和の場合について,ある種の3次元非特異トーリック多様体で,射影直線への全射正則写像を持つものの上のアンプル直線束がすべて正規であることを示した. 連携研究者の原は正標数の曲面特異点のF爆発について研究し,高橋は種数が4の非超楕円曲線を一般ファイバーとする曲線束を持つ複素代数曲面について研究した.また,足利は一般次元の循環商特異点のトーリック解消を統制する高次元連分数を研究するなど連携研究者の研究も進展した.
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