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2010 年度 実績報告書

極小モデル定理の検証・発展・応用

研究課題

研究課題/領域番号 19340003
研究機関東京大学

研究代表者

宮岡 洋一  東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (50101077)

キーワードHiggs束 / ベクトル束 / 安定性 / Jordanフィルトレーショ / チャン類 / Boomolov-Gieseker不等式 / 変形 / 標準計量
研究概要

Higgs束を代数幾何的観点から研究した。Hodge構造の変動(VHS)の自然なフィルトレーションはHiggs束の標準的例を与えるが,このHiggs束の自然な部分束は,VHSの標準的商束であり,Higgs束とVHSとではフィルトレーションの包含関係が逆転する。こうした逆転現象にもかかわらず,Higgs束理論でも通常のベクトル束理論と平行する命題が成立することがC.Simpsonや望月拓郎の研究で知られている。本年度の研究ではこの平行現象の部分的解明を試みた。得られた結果は以下のようなものである。複素射影代数多様体X上に定義されたHiggs束Eを考える。Xを適当な分岐被覆,EをもとのHiggs束の引き戻しに置き換えると,Higgs束Eは巾零Higgs束(接束Tの作用が巾零)の構造をもち,標準的Jordanフィルトレーションが入る。Xの接束TとEとのテンソル積Fをフィルターつきベクトル束と考えると,Fは非自明なフィルターつき変形をもち,EがHiggs束として安定ならば,Fの一般の変形はベクトル束として安定である。以上の結果から,Eが安定Higgs束ならば,Eの第1チャン類と第2チャン類の間にBogomolov-Gieseker不等式が成立し,またEのフィルターから定まる次数付きベクトル束に標準的計量が入ることが導かれる。これは微分幾何的に証明されるC.Simpsonの定理の代数的別証明である。安定Higgs束Eは一般にベクトル束としては不安定であり,また非自明な変形をもたない。Fの変形の幾何学的意味付けは現在のところ不明であるが,将来の考察に値するテーマであろう。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 安定性, Bogomolov不等式, Miyaoka-Yau不等式2010

    • 著者名/発表者名
      宮岡洋一
    • 学会等名
      代数学シンポジウム
    • 発表場所
      北海道大学
    • 年月日
      2010-08-10

URL: 

公開日: 2012-07-19  

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