研究概要 |
一般超幾何函数のモノドロミー群を具体的に計算するという仕事は古典的な問題であるが,具体的なサイクルを追跡しながら決定する技術が不足していたために,不満足な形の結果が殆どであった.これに対し,代表者は,近年開発した方法を用いて,具体的に書き下すことを行った.そして,その具体的表示を利用することにより,モノドロミー表現の既約性に関する十分条件を決定することができた.当初は膨大な計算によって導かれていたが,徹底的に整理することにより,最終的には,それなりの長さの計算にまとめることができた.このことは,現在論文にまとめているところである. 微分方程式の解の接続問題が,ねじれホモロジーの交叉数の計算とベータ積分を一般化したようなある種の定積分の計算に帰着されるということがわかった.そして,一般超幾何函数の場合に,それを実行したものを"Intersection numbers for twisted cycles and the connection problem associated with the generalized hypergeometric function ${}_{n+1}F_n$"にまとめ,現在,投稿中である. 接続問題といえば,Even 4と呼ばれる微分方程式の解の接続問題を原岡喜重(熊大・自然)との共同研究により解いたことも報告したい.ここでは交叉数を用いる方法ではなく,サイクルの満たす一次関係式を書き出して,それを解くという方法で行った.この方法は,一般化には向かない方法であるが,細部にわたる係数のふるまいを調べるためには,有用なものである.Even 4はHeckman-Opdamの超幾何函数でBC_2型のものを適当な意味で一変数に制限したものと考えられるので,逆に,Heckman-Opdamの超幾何函数の接続問題への突破口になるものと期待している.論文は"A connection problem for Simpson's even family of rank four"という題名で準備中である. アクセサリー・パラメタの無いフックス型微分方程式において,横山利章(千葉工大)の分類したリストは,系統的に議論できる数少ない例になっている.代表者は,この系列のすべてに対して,解の積分表示を与えることに成功した.その際,いくつかの系列を統合する,新しい微分方程式を構成するという発展もあった.
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