研究概要 |
1)「ネーター問題」の研究に関して,6次の置換群の場合を引き続き研究した.6次の可移置換群は共役を除いて全部で16個存在するが,そのような群Gの各々に対して,6個の独立変数の置換作用に関する古典的なネーター問題および,それらの複比が生成する3変数有理関数体Q(x,y,z)へのGのクレモナ変換作用に関するネーター問題を考察し,昨年度までは未解決であった場合のうち,G=(6T10),(6T11),(6T14)について新手法によって固定体の生成元を構成し,同問題を肯定的に解決した.(2)6次置換群のネーター問題と種数2の代数曲線のヤコビ多様体の2等分におけるガロア表現との関連について研究を進め,2次のジーゲルモジュラー群のレベル2の合同部分群に対するジーゲル保型形式の次数付き環の商体が,本研究と深く関連することを明らかにした。(3)種数2の代数曲線のヤコビ多様体の3等分におけるガロア表現についても同様な研究を進めた.特に,一般5次方程式から定まる種数2の代数曲線上のtrigonalな関数を特徴付けることに成功し,これを用いてガロア表現の像がPGSp(3)になることを示し,その固定体を生成する40次多項式を元の方程式の係数から求める簡明な手順を得た.(4)研究集会「ガロア理論とその周辺」を徳島大学理学部において,整数論研究集会を早稲田大学理工学部において開催し,この一年間の成果と今後の課題について討論した.
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