研究課題
有限生成群Gの語距離に関する中心極限定理をカリフォルニア工科大のCalegari氏と共同研究した。詳しく言うと、Gの上の任意の二つの語距離の比に関して、中心極限定理が成立することを示した。これは、この方面のまったく新しい問題意識に基づき、その結果はこれからの研究の基礎となる定理である。この研究成果については、すでにドイツ、東京での国際研究集会で招待講演した。次に、ユタ大学のBestvina氏とBromberg氏と共同で、写像類群の漸近次元が有限であることをしめした。これは、ここ数年、関連研究者の間で懸案となっていた問題であり、それに決着をつけた。これについては、ハワイにおける国際研究集会で招待講演した、大きな評価をうけた。この結果から、写像類群についての次に述べるような、これまでにいろいろな方法で示されてきたことが、一気に従う : 写像類群はExactである、ヒルベルト空間にユニフォームに埋め込まれる、Novikov予想が成立する。また、同時にこの共同研究で、写像類群の2次有界コホモロジーが、係数をL2空間にとったとき、非自明で無限次元であることも示した。これは、写像類群の剛性について、顕著な応用をもつ重要な結果である。次に、ニューヨーク州立大のManning氏と4次元以上のカスプ付き双曲空間のあるコンパクト化をした。これは、Thurstonによる3次元の場合の双曲デーン手術と呼ばれるものの高次元化で、このわれわれの構成により、CAT(-1)群の呼ばれる群の新しい例を構成し、またそれは、Gromovによるある予想の反例を与えている。これについては、筑波大における研究集会で招待講演した。
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"Groups of Diffeomorphisms", Advanced studies of pure math, Mathematical Society of Japan 52
ページ: 283-296