研究概要 |
[1]条件付き期待値の漸近展開。 主要項が漸近混合正規分布になる場合に,極限定理の高次近似である漸近展開について研究し,本質的なアイデアを得た。この場合,主要項のブラケットが定数に収束する場合の結果は筆者によって与えられたが,その方法の拡張によって証明がなされる。条件付き期待直の漸近展開も同様に示されることになる。 [2]非同期サンプリング下の共分散構造推定の理論。 2つの伊藤過程があるとき,そのクロスの2次変動過程を離散的かつ非同期な高頻度データから推定する問題に対して,Hayashi-Yoshida推定量が使われる。本課題では,その漸近正規性および漸近混合正規性を与えた。強可予測性条件の導入,点過程としてのサンプリング時間の扱い,セミマルチンゲールの極限定理などを経て結果が得られる。さらに漸近展開に関してA。Dalalyan氏と共同研究を行った。2つの伊藤確率過程の強弱(遅れの関係)の推定量としてのHY推定量の応用に関してM。Hoffmann氏と共同研究を行った。 [3]拡散過程の変化点問題。 ボラティリティ係数が変化する拡散過程に対して,離散観測に基づく変化点の推定量を与え,その一致性,極限分布に関して研究した。 [4]p変助過程に対する極限分布。 等間隔でない時間における伊藤過程のP変動過程の極限定理をJ.Jacod氏らと研究した。 このほか,統計数学セミナ,研究集会"Stochastic Analysis and Statistical Inference",同IIを開催し,研究に役立てた。確率過程の統計推測理論とその実用的な応用に関する業績により,第1回日本統計学会研究業績賞を受賞した http://www.jss.gr.jp/ja/society/prize_biog.html#6
|