研究概要 |
1,非有界な多重連結領域から一般的な直線スリット領域への数値等角写像の方法を提案し,その有効性を数値実験的に検討した.この正準領域は流体力学等への応用上も広く知られた平行スリット領域の自然な拡張になっている.しかし,提案されたスキームは特殊な条件下では数値的悪条件を生じることがあり,改善は今後の課題として残されている.(天野,岡野,遠藤) 2.非有界な2重連結領域から共線スリット領域(並行スリット領域で,スリットが同一直線状に位置する場合)への数値等角写像の方法を提案し,その有効性を数値実験的に検証した.この問題ではスリットが実軸となす角は計算の結果として定まる未知の量である.(天野,岡野,遠藤) 3.ポテンシャル問題の数値解法として近年開発された複素変数境界要素法を周期的ポテンシャル問題に拡張し,その有効性を数値実験的に検証した.(緒方) 4.領域の境界の微少な摂動に関する領域のGreen関数の変動を表すHadamardの変分公式について第1変分の簡明な導出方法を得た.また,それを発展させて第2変分を求めることに成功した.(土屋) 5.特異積分方程式(数値等角写像の方法として特異積分方程式を用いるものがある)を解くためのSinc法を提案した.また,代用電荷法でもしばしば生じる悪条件連立1次方程式の数値解法として特異値分解法やクリロフ部分空間法の研究を進めた.(杉原)
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