研究概要 |
繰越による研究成果 眼球から入ってきた視覚に関する情報は,脳の中でさまざまな処理が行われ,それにより視知覚が生じる.その視覚情報処理の中で大脳皮質にあるV1野における単純細胞による処理は基本的なものの一つである.その単純細胞の数理モデルとして,これまでGabor関数,ODOG関数,あるいはガウス導関数が用いられてきた.しかしこれらはコンパクト台を持たないという欠点をもっている.これに対して私たちは20年度までに単純かざぐるまフレームレットという新しいフレームレットの一つを構成した.これは単純細胞の数理モデルであり,コンパクト台をもち,方位選択性があり,さらに多重解像度構造も有している.本研究では特にその多次元信号処理への応用研究を行っていた. 20年度の繰り越しでは,招待者の都合により急に中止となったドイツの大学での研究発表・研究情報収集の代替として,21年度に国内で開催された国際会議に出席して研究情報の収集を行い,また単純かざぐるまフレームレットとその応用に関する研究成果を日本応用数理学会2009年度年会(於大阪大学)におけるウェーブレットセッションで特別講演として発表した.さらに,ウェーブレットの専門的な研究集会『時間周波数解析の手法と理工学的応用』(於京都大学数理解析研究所)でも研究発表を行った.これらの学会,研究集会で研究情報の取得も行った.今回の繰り越しによって,研究成果の外部発表,そしてかざぐるまフレームレットの応用を研究するにあたって有用な情報を得ることができた.
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