1.シュレデインガー方程式及びコルトベーグ・ドフリース方程式の研究において重要な働きをするエアリー方程式を含む一般的な分散型方程式の解についての研究をおこなった。特に解の漸近的振る舞いに関して精密な評価をもとめ、その結果を非線形項が持つ固有振動数と線形問題の解の固有振動数が共鳴現象を起こす臨界冪非線形問題に応用した。この結果は従来個別に取り扱われていた結果を統一的に扱えることを示した点において重要である。また固有振動数を考慮した近似解を非線形項からどのように求めるかも明確にして従来の近似解を改良した。 2.消散項を含む微分型非線形シュレデインガー方程式の解の漸近的振る舞いについての研究をおこない解の精密な漸近形を求めることに成功した。この結果は非線形項に微分項を含む方程式に関しては証明されていなかったものである。消散項を含まないものに関してはすでに解の精密な漸近形が証明されていたので、この結果により3次の非線形項を持った非線形シュレデインガー方程式の解の性質が明確になった。 3.デラックークラインーゴルドン方程式系と関係のある非線形クラインーゴルドン方程式系及び非線形クラインーゴルドン方程式-波動方程式系の散乱問題の研究をおこない従来の結果、散乱作用素の存在をより広い関数空間で取り扱うことに成功した。従来、研究に利用されてきた時空間減衰評価は用いず新たな時間減衰評価を示し応用したことが重要な点としてあげられる。
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