研究概要 |
1.Beijamin-Ono方程式の初期値問題を半空間で考察し解の漸近的振舞いを明らかにした.全空間ではいまだ未解決の問題であるが,半空間の場合は解の消散的性質を利用することによって解決すことができた. 2.非線形Klein-Gordonの初期値問題を考察し解の漸近的振舞いを明らかにした.標準化法の改善,非線形項の分解と時間減衰評価を用いることに寄り,より広いクラスの初期値に対して結果を示すことができた. 3.高階Korteweg-de Vries方程式は流体力学の研究において広く用いられている.重要な問題として解の解析性の問題がある.我々は初期値の解析性と無限遠方での減衰を仮定することによって解の解析性を証明することに成功した. 4.非線形Klein-Gordon方程式系の非相対論版と考えられる非線形Schrodinger方程式系の初期値問題を研究し,解の相互作用が共鳴現象を起こす場合に解の時間減衰評価を示した。また解を線形方程式の解の近傍で求めることができないことを示した.初期値問題に関しては,解の相互作用が共鳴現象を起こさない場合,解の漸近的振舞いは未解決問題である.解の漸近的振舞いの問題に対して,単独方程式の研究で用いられた方法を参考に,最終値問題を考えることによって解の漸近形を含めた解の存在を示すことに成功した.ただし,解の漸近形が方程式系に付随した常微分方程式系により支配されているので十分な結果とは言えない. 5.臨界べき非線形項を持った非線形Schrodinger方程式の解の振舞いを,近似解を修正することにより従来の成果より広いクラスの最終値に対して示すことができた.
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