研究概要 |
研究代表者松村は、中国科学院との共同研究において、粘性理想気体の一次元運動を記述する3×3の圧縮性ナヴィエ・ストークス方程式系の初期値問題を考察し、非粘性部分のオイラー方程式のリーマン問題が接触不連続と希薄波で構成される場合,対応する粘性接触波と希薄波の一次結合の合成波がその波の強さが適当に小さければ漸近安定であることを証明した。また、北京首都師範大学との共同研究において、半導体を記述する空間3次元での圧縮性ナヴィエ・ストークス方程式とボアソン方程式の系に対する初期値問題を定数自明解の周りで考察し、時間大域解の定数状態への最良の減衰評価を導いた。研究分担者茶碗谷は、大自由度散逸的力学系において非自明な長時間挙動、主に間欠的挙動が現れる機構について、内部構造を持つサドル的不変集合が関与する相空間の大域的構造が興味深い現象を引き起こすことを示し、それらの構造が比較的簡単な力学系の中にも現れうることを示した。連携研究者西畑は、半直線上での熱伝導圧縮性ナビエ・ストークス方程式を考察し、流入境界条件や流出境界条件のもとに定常解の存在と漸近安定性を証明した。また、半導体中の電子流を記述する等温流体力学モデルの緩和時間極限を考察し、解がドリフト拡散モデルの解に収束することを示した。連携研究者柘植は、半導体中の電子と正孔の運動を表す半導体の流体力学モデルの定常問題を研究し、電位が十分小さいという条件のみのもとで解の存在と一意性を示した。連携研究者の小田中は、半導体における量子エネルギー輸送方程式の数値解法を開発した。連携研究者柳沢は、非斉次的境界条件下での定常ナヴィエ・ストークス方程式の解の存在に関する考察を進め、解の構成的存在証明において本質的となるア・プリオリ評価式の成否と領域の幾何学的制限との関係に関する幾つかの結果を得た。
|