研究課題/領域番号 |
19340040
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
綿谷 安男 九州大学, 大学院・数理研究院, 教授 (00175077)
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研究分担者 |
幸崎 秀樹 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20186612)
松井 卓 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (50199733)
梶原 毅 周山大学, 大学院・環境学研究科, 教授 (50169447)
植田 好道 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (00314724)
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キーワード | 作用素環 / 複素力学系 / C^*-環 / 有理関数 / KMS状態 |
研究概要 |
この研究では有理関数や超越整関数などの複素平面上の有理型関数Rの反複合成R^nによる複素力学系から、ヒルベルト空間上の作用素からなるC^*-環を構成する。この研究の目的は複素力学系と作用素環という二つの異なった分野思いもかけない結びつきを解明することがである。一般にRは位相同型写像ではないので、接合積でもって作用素環を構成するということが全くできない。しかし今までの私たちの研究で、特に関数Rが有理関数の時は、Rはリーマン球面C^=CU{∞}上の限分岐被覆写像なので、分岐指数を使ってそのグラフ上の連続関数全体C(graphR)は係数環A=C(C^)上の双加群とみなすことができる。この双加群から普遍的に生成できるC^*-環OR(C^)の構成を行っている。今回の研究では、分岐点のような特異点の構造と付随するC^*-環との関連を研究し、C^*-環上のK理論や平衡状態(KMS状態)の言葉で元のRの特異点の構造を表現することに成功した。実際、逆温度がlog degRでKMS状態は相転移をおこす。逆温度がそれを越えればKMS状態の端点がちょうど有理関数の分岐点に対応することがわかった。逆温度がそれ未満であればKMS状態の端点がちょう有理関数の例外点に対応することがわかった。逆温度がlog degRであればKMS状態はただ一つで、それはJulia集合上のLyubich測度に相当する。このようにして、有理関数の次数、分岐点の個数、例外点の個数、例外点の軌道などがC^*-環OR(C^)のことばであらわせることが、わかった。またKMS状態からGNS表現を用いて作ったvon Neumann環の構造や型も調べ、Lyubich測度の時がIII型で、それ以外はI型になる。
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