研究概要 |
1.一般超幾何関数を用いた一般Schlesinger系の特殊解の構成をTwistor理論の視点から行うという課題に関して次のことを行った. (1)GL(N)の正則元の中心化群として与えられる極大可換部分群Hを考え,そのGrassmann多様体G(2,N)への作用により,その上で定義されている一般化反自己双対Yang-Mills方程式(GASDYM)のの変数分離を行った.これにより群のデータから指定される特異点を持つ線形常微分方程式とそのmonodromy保存変形を記述する方程式が,統一的に記述できた.このmonodromy保存変形により得られる非線型方程式が一般Schlesinger系である.これは従来不確定特異点を持つmonodromy保存変形を考えるときに変形パラメータがどのような入り方をするのが自然であるかということが明確でなかった点をTwistor理論の立場から明確にしたものである. (2)Ward Ansatzの考え方を用いてGASDYMの解を,上記で用いた群Hで定まる一般超幾何関数を成分とするHankel行列式の形で与えた.この解を上記の(1)のプロセスで変数分離することによって一般Schlesinger系が一般超幾何関数で表される解を持つことが分かった. 2.2008年6月に東京大学数理科学研究科において国際研究会を主催し, Twistor理論における著名な研究者であるOxford大学のWoodhouse教授とStrasbourg大学のSchafke教授を招聘して講演をしてもらった.この機会にTwistor理論とmonodromy保存変形に関する研究交流を行い,研究を深化させるための体制を作ることができた.
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