研究概要 |
一般Schesinger系のレベルでのPenrose変換あるいはWard対応の理論を整備するということか,本年度の研究計画のひとつであった.Twistor理論においては,時空であるGrassmann多様体G_{2,N+1}とそのTwistor空間である射影空間P^Nの上の上部構造が重要である.G_{2,N+1}上の一般化された反自己双対方程式(GASDYM)の解と,P^N上のベクトル束でTwistor line上で自明になるものの対応を与えるのがWard対応である.確定あるいは不確定特異点を持つリーマン球面上の線形微分方程式のモノドロミー保存変形によって得られる非線形可積分系は,GASDYMのなかでG_{2.N+1}へのPGL(N+1)のN+1の分割λで指定されるある極大可換部分群の作用によって不変なものとして記述できる.このGASDYMの特別な解がTwistor空間上のどのようなべクトル束と対応するかというWard対応を明確にするという問題を考えた.研究成果の1番目のの論文では,この対応をN+1の分割が(2,1,…,i)の場合に確立した.特殊関数の問題としては,一般Schlesinger系がどのような特殊解をもつかということが興味深い.第2番目の論文においては,Grassmann多様体G_{2,N+1}上の割λに対応する一般超幾何関数を種として,同じ分割に対応する一般Schlesinger系のN個のパラメータを含む特殊解の系列がWafd-AnsatzというGASDYMの特殊解の構成法を用いて作るこ.とができることを解説した.これは2008年にOxford大学のWoodhouseが東京における講演においてその可能性を述べていたごとを具体的に実行したものである.この解の構成のために,一般Schlesinger系を与えるモノドロミー保存変形を,GASDYM存与える線形問題の群作用による簡約化として具体的に与えた.さらにlevel kの解を1evel k+1の解に移す変換やlevel k-1に移す変換を与えた.
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