研究概要 |
一般Schlesinger系のレベルでのPenrose変換あるいはWard対応の理論を整備するということが,本年度の研究計画のひとつであった.Twistor理論においては,時空であるGrassmann多様体G_{2,N+1}上の一般化された反自己双対方程式(GASDYM)の解とTwistor空間と呼ばれる射影空間P^N上のベクトル束でTwistor line上で自明になるものの対応を与えるのがWard対応である.確定あるいは不確定特異点を持つリーマン球面上の線形微分方程式のモノドロミー保存変形によって得られる非線形方程式系のあるクラスは,GASDYMのなかでG_{2,N+1}へのPGL(N+1)のN+1の分割λで指定されるある極大可換部分群の作用によって不変なものとして記述できる.このGASDYMの特別な解がWard対応によりTwistor空間上のどのようなベクトル束と対応するかということを明確にすることが問題である.この問題でキーとなる非線形方程式の可積分性を示すために,Riemann-Hilbert問題を用いたモノドロミー保存変形可能性を研究した.線形方程式が一位の極のみをもつ場合で,かつモノドロミー表現が既約な場合に,微分方程式の空間と表現の空間が微分方程式にそのモノドロミーを対応させるという写像によって局所的に双正則に対応することを示すことができ,自動的に得られる非線形系が可積分であることが示せた.不確定特異点をもつ場合に同様のアプローチにより一般Schlesinger系の可積分性を示すことが今後の課顆となっている.一般超幾何関数については,付随するde Rham cohomology群の構造を決定する問題について,G_{2,N+1}上一般超幾何関数とG_{r,N+1}上のそれとをつなぐロンスキー行列公式を与え,さらにそれを基礎とした方法を与えた.
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