研究課題/領域番号 |
19340044
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
嶺重 慎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70229780)
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研究分担者 |
野上 大作 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教 (20332728)
川端 弘治 広島大学, 宇宙科学センター, 助教 (60372702)
植村 誠 広島大学, 宇宙科学センター, 助教 (50403514)
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キーワード | ブラックホール / 磁場 / 粒子加速 / シンクトロン放射 / 可視光天文字 / CCD / 理論天文学 / 赤外線天文字 |
研究概要 |
ブラックホールなどの高密度天体連星系からの放射は激しい時間変動を示す。しかし、その起源は今もって不明である。本研究課題は、連星系からの非熱的電子起源の可視光を0.1秒以下の時間分解能で分光観測することにより、急激なスペクトル硬化、すなわち粒子加速の証拠を見出し、その時間変動の起源を明らかにしようとするものである。我々は先に、高速読み出し可能のCCDを川いた高速測光システムを構築し、ブラックホールに秒以下の時間スケールの変動を検出した。しかし、粒子加速機構を解明するには単色の測光観測では限界があるため、高速分光システムの開発・実用化を開始し、以下の成果を得た。(1)高速分光システムの構築については、年度の途中に当該研究分野に新たな進展が見られたことから、装置の設計についてR=λ/Δλ〓30の低分散モードに加え、輝線強度を求めるためR〓300の高分散モードも導入するように仕様を変更する事態が生じた。高速分光器はH20年6月に完成、7月に広島大学1.5mかなた望遠鏡の第2ナスミス焦点に設置された。その後の試験観測により、波長分解能、検出効率、限界等級等について、所期の仕様が達成されている事が確認されている。(2)高速分光装置を用いた研究の準備として、高速分光装置に組み入れる高速カメラを「かなた」望遠鏡に取り付け、高速変動が期待できる激変星の撮像観測を行った。その結果、爆発中の緩新星において、数十秒程度の準周期的な変動など、短時問変動の特徴が爆発の進行と共に日々変化していく様子が明らかになった。(3)理論面では、先に行った大局的磁気流体シミュレーションデータを基に新しく非熱的プロセスを加味してスペクトル計算を行い、SgrS*の観測を説明した。
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