京都大学では、次世代の超大型望遠鏡建設に必要な技術を用いて口径3.8mの望遠鏡を国内に建設する計画を進めている。本研究では、それに関連して以下の研究を行った。 1.位相測定システムプロトタイプを用いての試験 前年度に製作した望遠鏡主鏡支持部分の1/6部分のトラス構造(分割鏡制御試験台)とダミー鏡材用いて、実際の分割鏡の境界部分を再現し、位相測定システムプロトタイプを用いて総合的な制御試験を進めた。具体的には、分割鏡境界部分で集光された点像の干渉効果を、5つのレーザー波長を自動切換えしかつ画像を同期させて取得・形状解析することで、分割鏡同士の相対位置を極めて高い精度で決定し、高精度アクチュエータを用いて鏡の位置を完全に合わせることに成功した。 2.位相測定システムの製作 位相測定システムは、上記鏡境界部での相対位置ずれを検出する位相カメラ部と、分割鏡の向きを測定するシャック・ハルトマンカメラ部からなるが、当年度はこのうちシャックハルトマンカメラ部の製作と調整及び実験室内での各種性能試験を行った。実際の望遠鏡に取り付けての試験は、耐震補強工事のため望遠鏡が使えず、次年度に繰越となっている。 3.分割鏡位置調整ソフトウェアの開発 インダクタンスセンサによる分割鏡の位置により、2重のフィードバック制御をかけて高速応答かつ長時間安定性を維持するソフトウェアを試験開発中である。
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