研究概要 |
本年度は,13.5nm直入射望遠鏡の撮像実験で進展を見せることができた。まず,レーザープラズマ光源の導入とデブリシールドを設置する事で,13.5nmX線照射実験の準備が整った。望遠鏡は,直径80mmの主鏡,可変形状鏡を使用した副鏡を用い,焦点面にX線用のCCD,また,シャックハルトマン型の波面センサーを所定の場所に置き全系を整えた。その状態で,レーザープラズマ光源のX線をシミュレートするアラインメント用のレーザを使い,可視光の実験であるが補償光学系を動作させた。80mm直径の主鏡で,630nmのレーザーを用いているので,2.1秒角が回折限界であるが,ほぼ回折限界の性能を出すことができた。この結果は,SPIEの国際学会および,第9回X線結像光学シンポジウムで報告した。まもなくX線による撮像実験をスタートできる予定である。また,補償光学の制御方法にて可視光とX線の行路の違いによる収差を補正するという課題がある。本年度は,そのためのプルグラムを制作している。これから,実験を進めつつ改良していく予定である。 また,斜入射光学系への応用を進めた。1次元楕円鏡と平面可変形状鏡を使った10度入射光学系を組み上げ,撮像実験を行った。制作した楕円鏡には,Niの蒸着を行った。10度入射では,全反射にて炭素K-X線の反射率がおよそ10%であることを実験で確かめた。また,可視光ではあるが,撮像実験および,補償光学系の動作試験を行った。性能はまだ低いが,補償光学系の働きによる像の改善を確かめることができた。この結果は日本天文学会にて報告した。 X線干渉計の検討を進めている。放射光によるX線干渉計実験を進める研究者との勉強会を行い,可能性を探っている。
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