研究課題/領域番号 |
19340050
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
望月 優子 独立行政法人理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 仁科センター研究員 (90332246)
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研究分担者 |
高橋 和也 独立行政法人理化学研究所, RI製造応用チーム, 専任研究員 (70221356)
中井 陽一 独立行政法人理化学研究所, 櫻井RI物理研究室, 専任研究員 (30260194)
五十嵐 誠 独立行政法人理化学研究所, 牧島宇宙放射線研究室, 協力研究員 (50435624)
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キーワード | 宇宙物理学 / X線天文学 / 太陽物理学 / 極地 / 氷床コア / 超新星爆発 |
研究概要 |
本研究の目的は、南極大陸の日本の基地「ドームふじ」において掘削された氷床コアを用いて過去の超新星爆発の痕跡や太陽活動周期を抽出することである。最初のステップとして、10世紀から11世紀に相当する深さの氷床コア中の硝酸イオン濃度の分析データを詳細に解析し、2つの歴史上の超新星爆発の痕跡と、10-11世紀にかけての太陽活動周期を同時に抽出することに成功した(論文はネイチャーに投稿済;<http://arxiv.org/abs/0902.3446>)。超新星は、藤原定家の『明月記』にも記録されているSN1006(1006年に爆発)とカニ星雲超新星(1054年爆発)である。また2009年はガリレオ・ガリレイが人類で初めて望遠鏡で天体を観測して400年になるのを記念した世界天文年である。太陽活動周期については、ガリレオの歴史的な観測以降、太陽黒点数の詳細な観測に基づく知見があるが、それ以前の太陽周期については情報が極めて少ない。今回私たちが抽出に成功した太陽11年周期は、望遠鏡時代以前のものとして非常に重要な成果である。超新星爆発と氷床コア中の硝酸イオンのスパイクとの相関は、1979年にRoodらによって提案されていたが他のグループによって追認されないなど、問題点も多かった。また硝酸イオン濃度変動と太陽周期の関係についても先行研究があるが、論争も多い。今回、同じコアの同じ場所から同時に2つの天体現象が見いだされたことは、互いの信憑性を高めるものと言える。この研究を現在に向かって、あるいは過去に向かって時間的に拡張することにより、まだよくわかっていない銀河系内の超新星爆発と太陽活動の歴史がさらに長期にわたって調べられるようになることが期待され、現在、イオン分析とその解析が進行中である。
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