研究概要 |
1.合金(TiNi,TiCr_2,LaNi_5)中でのD(d,p)T反応を、入射エネルギー5keVから15keVにわたり測定し、各合金中での遮蔽エネルギーUsが導出された。結果は、22.5eV(TiNi),25.1eV(TiCr_2),38.4eV(LaNi_5)となり、Pd等で観測されたような大きな遮蔽効果(Us~300eV)は見られなかった。 2.固体/液体In中でのD(d,p)T反応の予備的測定を行った。当初、液体In中ではD(d,p)T反応が異常に増強されている可能性が示された。しかしながら、その後のデータ蓄積とΔE-E2次元スペクトルの詳細な解析により、異常な収量増大は検出器前面のAl箔に蓄積されたDと、Inにより散乱されたDとの反応によることが判明した。その後、液体In+超音波キャビテーション中のD(d,p)T反応の予備的データを得た。キャビテーションのない場合と較べて反応率が数十倍大きい可能性が指摘される。 3.液体Liを標的とした^6Li(d,α)^4He,^7Li(d,α)^4He反応の詳細な解析が進展し、反応のS-factorが求まった。LiF標的の場合のS-factorに較べて大きく増大しており、二つの異なった環境下での同じ核反応においてΔUs=235±63eV(^6Li+d)、及び、140±82eV(^7Li+p)もの違いを生じることが明白となった。この差は、伝導電子とLiイオンの遮蔽効果に起因するものである。解析結果は、論文として纏められ、現在J.Phys.Soc.Jpn誌に投稿中である。 4.液体Li+超音波キャビテーション中の6Li(d,α)4He、及びD(d,p)T反応の詳細な解析が進められた。後者の反応においては、超音波キャビテーションの効果が非常に大きいことが判明した。キャビテーションにより、標的Dが高温ガス状態であると仮定すると、その温度は10^6Kにものぼることが示された。これらの結果は、近々論文として纏められ投稿される予定である。
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