○トリガー装置の現地への設置・調整 完成した本装置をハワイ島マウナロア山腹のAshra観測サイトへ搬出し設置した。集光器と集光器脇のトリガー室まで屋外用強化被覆を持つ光ファイバー束を、既設の金属ダクトに沿って入れて配線し、光ファイバーの為、誘電雷やサージ電流などの悩みはない。断熱対策も施した。グローバルトリガーの為、光テストパルスを伝送した。光テストパルスをファイバー束でトリガーセンサまで伝送し、感受させることでイベントを現場で取りこぼしなく正しくトリガーされるかどうかを確認した。その結果、330TeV以上の陽子から発せられる水平空気シャワーチェレンコフ光では100%のトリガ効率が得られることが確認された。 ○トリガー装置を用いたVHE空気シャワートリガー撮像試験観測 上記のように設置されたトリガー装置を用いたVHE空気シャワートリガー撮像試験観測を行った。設置・調整されたトリガーシステムを駆使して、VHE陽子空気シャワー観測を実施した。設計上、複数の集光器が集中して同じ視野を見ることで個眼検出器を形成している。各個眼検出器に1個トリガー装置が脇の各トリガー室内に配備されている。トリガーリセット制御パルスは主ステーションで12台、副ステーションで4台の計16台のトリガー装置に配られることになる。トリガー装置は各個眼検出器にトリガーがかかれば、その取得画像データに相応するトリガー番号と時間スタンプ番号を付加する。この時間スタンプ番号のリセットを本研究によるリセット信号の制御によって行う。各トリガー装置は、観測時はリセット同期以外、完全に独立に稼働する。トリガーされAshraの読み出し高精度CMOSセンサはトリガーされた部分のみデータ出力する。そのデータは各個眼検出器にある、フロントエンドDAQ用PC上のHDDに一時保管されていく。その照合を朝昼の観測していない間にフロントエンドDAQ用PCを有効活用し、ステレオ事例整合をネットワーク越しに行う。その構想にそって、マウナケア山を背景とした視野を持つ集光器を用いて、試験撮像観測を1カ月以上実施した。その結果、VHE陽子空気シャワーのエネルギー分布を得て、従来の観測結果と整合し、概ねトリガーが狙った感度で稼働できることが示された。その知見に基づき、データ処理や解析手法の確立に向け、プログラム開発している。
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