一般的に天文学は、望遠鏡を使って光や電波を放出する星や天体を観測する。自ら光を放出しない星や天体は見えない。褐色矮星や太陽系外惑星やブラックホールなどは、暗天体又はブラックスターと言われ、自ら光を放出しないのでそれらの観測は極めて困難である。そこで我々は見えない星を見るために重力レンズ効果を使い暗天体を探査することにした。暗天体は、光を放出しない。しかし質量を有しているので、周囲の空間は一般相対性論の効果で歪んでいる。この歪みを宇宙でレンズとして利用する。すなわち地球から重力レンズを通して後方の星を見ると、後方の星の光が重力レンズで集光され明るく増光する。これが重力レンズ効果である。 重力レンズ効果の出現する確率は極めて少ない。そこで我々は銀河中心部の5000万個の星を毎晩観測し、重力レンズで増光した星を見つけることにより、隠れている暗天体を探している。特に惑星を伴った星は主星と惑星のレンズが重なる二重レンズ効果を示すのでそれを検出し惑星を探し出す。観測装置は日本の科研費特別推進費でニュージーランド南島マウントジョン天文台に設置した口径1.8mの大型望遠鏡と2.2平方度の広領域が観測できる大面積CCDカメラである。今回の科研費の期間内に6例の太陽系外惑星が発見された。
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