研究課題/領域番号 |
19340058
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
素粒子・原子核・宇宙線・宇宙物理
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
村木 綏 甲南大学, 理工学部, 教授 (70013430)
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研究分担者 |
住 貴宏 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (30432214)
〓 隆志 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 助教 (90324368)
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連携研究者 |
阿部 文雄 名古屋大学, 太陽地球環境研究所, 准教授 (80184224)
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研究期間 (年度) |
2007 – 2010
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キーワード | 重力レンズ効果 / ダークマター / 太陽系外惑星 / 暗黒天体 / 暗天体 / 変光星 |
研究概要 |
天文学では自ら光を放出しない天体は太陽系惑星を除き検出が不可能であった。一般相対性理論によれば、質量を有する天体の周辺を通過する光線は直進せず曲がる。光線の屈曲は、空間がレンズの役割を果たすことに対応する。この空間の"重力レンズ"を利用して暗黒天体(暗天体)を検出する観測法が1986年にパチンスキーにより提案された。彼の提案の骨子は、遠方の天体を大量に観測しその星の中から"重力レンズ"で増光する天体を探し出し、その星の手前にある暗黒天体を検出する方法である。彼の提案を受けて重力レンズを用いて暗天体を検出する試みが1990年ころから開始された。 日本とニュージーランドの共同研究グループMOAは、重力レンズ効果の研究に特化して日本の科学研究特別推進費でNZに作られた1.8m望遠鏡を駆使して、本科研費を利用して、2006年度から銀河中心方向と大・小マゼラン星雲の本格的なsurvey観測を実施してきた。その結果ドップラー法で発見できなかったような、主星から遠く離れたところに存在する系外惑星を16個見つけた。ドップラー法による観測結果は、太陽系外の惑星分布が主星のごく近くを回る灼熱の木星が大半を占め、我々の太陽系のような惑星分布をした惑星系は稀であることを語っている。しかしながら今回重力レンズ法による観測で、主星から遠く離れたところに存在する冷たい海王星のような小型惑星を伴った惑星系がかなり存在していることがわかってきた。これはこれまでの観測結果を覆す結果である。 しかしながら重力レンズ法による観測法では、見つかる系外惑星の数が年間2~4個と限られており、さらなる大量測光観測が必要であることも確かである。 なお甲南大学のグループは、1999年から2005年に大マゼラン雲の観測で得られたMOA Iデータのデータベースを完成させ、その中にミラ型変光星を9,000個、セファイド型変光星を13,000個見つけた。これらの結果の物理は学会や論文で順次発表する予定である。またMOAグループはNatureやScience誌に、それぞれ重要発見を現在投稿中である。2008年度は査読付き論文3編、2009年度は査読付き論文6編、2010年度は11編、4年間で査読付き論文を20篇公表した。また4年間で、国際会議で15回、日本物理学会および天文学会で26回発表した。
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