大統一理論の様々な問題を自然に解くことができる異常U(1)対称性を用いて、准安定真空を用いて超対称性を自発的に破ることができることを示した。重要な点は、大統一理論の様々な問題を自然に解くという異常U(1)対称性の良い性質をスポイルすることなく、また、それらの模型をほんの少しの修正を加えるだけで超対称性を自発的に破ることができたことである。この発見により、超対称性の破れの起源も含め、大統一理論の問題だけでなく、超対称性の問題も含めてほとんどすべての問題が解けているような模型の構築が視野に入ってきた。超対称性の破れのパラメーターは、今年度稼動する予定のLHCでおおざっぱには、測定されうるものであり、その大きさやパターンをLHCが結果を出す前に予言しておくことは、とても重要な課題であるが、そのための第一歩になりうる仕事であり、重要なものと考えている。また、異常U(1)理論において、よく理解されていなかったモジュライの安定性に関しても一つの新しい解を与えているという意味でも価値の高いものと考える。 また、研究分担者の杉本は、2004年度に酒井氏との共著で提案した、超弦理論を用いたQCDの解析法を、バリオンに適用し、バリオンのスペクトル、磁気モーメントなどの諸性質、2つのバリオン間の相互作用などを解析した。その結果、観測されているバリオンの諸性質をかなりうまく再現できることが分かった。
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