今年度は、レーザーフォトカソードRFガンから得られる電子ビームの大出力化のための、レーザーのマルチパルス増幅を実施した。具体的にはNd:YLFレーザーの基本波である1047mの119MHz IR光を特別に設計したモジュレータにより自在に切り出す事に成功したた。これにより、今回、100パルスの代強度IRレーザーを後置の増幅器により生成し、その後非線形結晶により2倍高調波及び4倍高調波であるUV光へ変換することに成功した。これにより、UV光の100パルスレーザートレインを発生させる事に成功した。このレーザーパルスとレインを高量子効率のフォトカソード(Cs2Te)を備えたRFガンに導入し、100パルスのピコ秒電子線を安定に発生させる事に成功した。一方X線検出については、最終的にはnmレベルの解像度を求めているため、UV及びX線レジスト(TDUR-P722及びZEPシリーズ)の高感度化を目指した研究を実施し、従来の感度を1桁以上向上させる事に成功した。また同時に、衝突用のレーザー光を増幅するためにパルスレーザー蓄積装置を実現し、マルチパルスX線の発生に成功した。またX線のパルス長及びエネルギー等の計測についても検討を加えた。具体的には、シンチレータ(LYSO)及びHOPGを用いて種々の計測を実施した。これにより発生させたマルチパルスX線のパルス長が約7.5psと計測された。またエネルギー測定についても分解能等の評価を通じ、数10keVのX線に対する精度のよい計測が可能となった。
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