研究課題/領域番号 |
19340066
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研究機関 | 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構 |
研究代表者 |
北澤 良久 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (10195258)
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研究分担者 |
磯 暁 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (20242092)
西村 淳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90273218)
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キーワード | 超弦理論 / 行列模型 / 非可換時空 / カイラルフェルミオン / 数値シミュレーション / ブラックホール / 宇宙項の遮蔽効果 |
研究概要 |
北澤は、超弦理論の非摂動論的定式化を目指す行列模型の頂点演算子を第一原理から導出する研究を推進した。またドジッター時空上の場の理論を非平衡系の研究手法を用いて研究し宇宙項の遮蔽効果の存在を指摘した。 超弦理論の非摂動的な定式化として、有限次元の行列模型から出発して標準模型を導出しようという試みがなされている。ここでまず問題となるのが、有限次元行列でつくられる非可換時空の上でどのようにしたらカイラルフェルミオンが定式化できるのか、という点である。磯は、2次元及び4次元非可換球面では、格子ゲージ理論で提唱されたGinsparg-Wilsonフェルミオンという考え方を使うことで、ゲージ場の位相的な電荷が定式化でき、それを使ってカイラルフェルミオンがダブリングの問題なしに構成できることを示した。 西村は、非可換時空上のゲージ理論の位相的性質を、数値シミュレーションにより研究した。特に、境界条件をツイストした場合、Atiyah-Singerの指数定理によって決まる特定のトポロジカルセクターが支配的となるといった、 通常の可換時空上のゲージ理論と異なる著しい性質を明らかにした。この成果は、弦理論のコンパクト化において、余剰次元が非可換時空となるシナリオにおいて、重要な役割を果たすと期待される。 本科研費で雇用した石橋は、超弦理論・超重力理論の解として特に重要となるホーキング温度ゼロの臨界ブラックホールについて、そのスケーリング極限を表す時空の分類を一般次元において行った。また5次元の場合に、まず簡単な例として真空解の場合にU(1)対称性を一つしかもたないブラックホールのホライズンの位相構造に対する制限を見つけ出した。
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