本研究計画は既存のBファクトリーのルミノシティを高度化することによってフレーバー物理、とくにB中間子、τレプトンの崩壊現象を高統計で測定することによって超対称性などの新しい物理法則の性質を解明することを目指して、そのための基礎研究を組織的に進めようとするものである。平成19年度においては「SuperKEKB Workshop」(平成19年11月12日、東京、http://superb.kek.jp/Skekb-ja/index.html)、「3^<rd>Workshop on B Factories and New Measurements」(平成20年1月24-26日、熱海、http://superb.kek.jp/bnm2008/index.html)を開催し、主として高度化されたBファクトリーで可能な測定およびそれによってどのような新しい物理法則の仮説に制限がっけられるかに関して検討を行った。またこれと同じ目的で、海外の研究者と共同で小研究会(平成19年12月(ドイツDESY研究所など)、平成20年2月(イギリス・クィーンマリー大学)、および3月(ロシア・ITEP))を開催した。これらの結果、B中間子がKπに崩壊する際のCP非対称性、Bs中間子のΔΓ、D中間子混合に伴うCP非対称性などが新しい物理法則に感度のある観測量であることがわかった。また、高度化を実現するための加速器の設計に関して、陽電子加速器のビームだけを絞ることによってルミノシティの向上が期待できることなどが議論された。
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