Bファクトリーで大量に作られるB中間子やτレプトンの崩壊現象にTeV領域の物理の影響が見られるはずであり、この詳細な測定によってエネルギーフロンティア実験と相補的に新しい物理法則の性質を調べる機会を与えている。このために高エネルギー加速器研究機構においてKEKB加速器の高度化を図り、フレーバーファクトリーとするSuperKEKB計画が発足している。本研究ではこの研究計画を日本国内の高エネルギー物理学実験の中心課題とすることを目的として物理の検討を行い、特に物理の事例に関する研究と測定器の最適化に関する研究をさらに組織的に推し進めた。 これまでに5回の全体研究会を開催、またその前後に3名から10名の参加による小研究会を開催し、主に以下の3点に関して研究を行った。 ア. 超対称性の典型的なモデルをいくつか取り上げ、B中間子の崩壊で測定可能な物理量の標準模型からのズレと各モデルのパラメターとの関係を網羅的にまとめた。このような研究は超対称性のモデルを特定するのにきわめて有効であることが明らかになった。 イ. レプトン数の保存を破るτ崩壊現象の探索方法の確立。この現象は新しい物理法則の性質を決定する上できわめて重要であるが、この測定は実験上のバックグラウンドで完全に制限されるので、この点に関して集中的に検討を行った。 ウ. B中間子がDτvあるいはτvに崩壊する過程における荷電ヒッグスの探索。これまでは単に崩壊分岐比の測定で荷電ヒッグスの関与を調べることが考えられてきたが、τとμの比、τの偏極の測定などの測定が重要であることが明らかになった。
|