研究概要 |
ボロン含有量(3%,10%,20%,25%それに30%)の高純度炭素粉末にナフタリンを接着剤として特殊プレス機で成型加工した炭素蒸発ロッドを制御型AC/DCアーク放電法を用いて厚さ200-400μg/cm^2のHBC-フォイルの作成に成功した。作成したHBC-フォイルの寿命は東工大(理)の3.2MeVの直流ネオンイオンビーム、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の650keVの直流負水素イオンビーム、それに米国の国立ロスアラモス研究所(LANL)の800MeVパルスの負水素イオンビームの異なる条件で測定した。東工大のイオンビーム照射ではボロンのドープ量として20%がメカニカルに強くまた寿命も他のドープ量に比較して長寿命を示した。この結果から、KEKとLANLでの照射テストはすべてボロン20%で作成したHBC-フォイルを用いた。今回の照射テストでは銅の5倍以上の熱伝導率を持つ米国のオークリッジ研究所(SNS)で開発されたナノとマイクロの構造を持つ厚さ1-1.5μmの両ダイアモンドフォイル、それにカナダ国TRIUMF研究所のダイヤモンドライクカーボンフォイル(DLC)と市販のアモルファスカーボンフォイルを比較のためにテストした。その結果上記3つの加速器からのイオンビーム照射でもHBC-フォイルが他のフォイルに比べて一桁以上の寿命を示すと共にフォイル温度が1800±100Kの高温度に於いても高温損傷(変形、膜厚減少、ピンホール)が少ないことが分かった。一方のSNSの両ダイアモンドフォイルは1800±100Kで黒色化のグラファイト構造に変化しフォイルの変形が急激に増大することが分かった。他のDLCとCMフォイルも同様に強い変形且つ短寿命を示した。この結果から、HBC-フォイルは他のフォイルに比べて長寿命のみならず高温損傷にも強いことも分かった。
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