研究概要 |
元素合成に関わる中性子過剰核の基礎的情報(半減期,励起レベル、アイソマー、中性子放出確率)を効率的に収集し、魔法数近傍の核構造、およびr過程に関する研究を目的としている。理研・RIBF施設を利用した実験を実施するべく、β崩壊測定に特化した各種装置の開発・製作・検討を行った。 半減期測定:不安定核混合ビームに対応した高速半減期測定を実現するために、革新的装置(CAITEN)を完成させた。円筒型プラスチックシンチレーター(φ500mmx1000mm)に不安定核を打ち込み、位置検出型光電子増倍管により、低バックグラウンド・高効率なβ崩壊測定を実現させる。特殊な抵抗チェーン型読み出し回路を導入した読み出し回路により、β崩壊の時間・位置測定を可能とした。 励起レベル・アイソマー探索:高分解能βγ分光の研究を行うべく、両面ストリップ型Si半導体検出器(DSSD6枚)と高純度ゲルマニウム検出器(Ge)を導入した装置を準備する。また、冷却システムを導入し、低エネルギーβ線の検出感度の向上を図る。重い不安定核(A>100)領域へと展開する上で入射不安定核のエネルギー測定が必須となる。そこで、DSSD中での損出エネルギー(10keV〜5GeV:10^5ダイナミックイナミックレンジ)を測定可能とする並列読み出し回路を開発した。また、μ秒短寿命アイソマー探索を行うために、高速多重ヒット対応の読み出しシステムを構築する。 中性子放出確率:β崩壊に伴う遅発中性子の測定をするために、GEANT4/MCNP解析コードを導入し装置の設計を始める。GSIの<100>^Snのβ崩壊実験(RISING)に参加し、情報の交換をおこなう。
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