研究概要 |
平成21年12月に理研のRIBF加速器施設において、最初のβスペクトロスコピー実験を実施した。 β・γ分光、アイソマー探索の実験(3日間):(1)0.1~0.2pnAの大強度ウランビームをBe標的に衝突させ、質量数110近傍の中性子過剰な原子核の生成およびその粒子識別に成功した。(2)生成した中性子過剰核を開発したβ線検出器※1に埋め込むことに成功した。この中性子過剰核から放出されるβ線を効率的に測定しβ崩壊時間スペクトルの観測に成功した。(3)さらに高純度ゲルマニウム検出器(4台)とINFN研究所(伊)からの大型LaBr3(Ce)を組み合わせ、アイソマーの観測に成功した。(4)βγ分光用のデータの解析を進めている。爆発的元素合成で経由した予想されているR過程経路上の核種(Sr,Y,Zr,Nb,Mo,Tc)の半減期情報を得ることが期待される。現在、より詳しいβ・γ分光解析を進めている。 革新的半減期測定装置(CAITEN):混合不安定核ビーム中の希少不安定核のβスペクトロスコピーを可能とする革新的なβ線測定装置(CAITEN)※2を開発した。RIBF加速器からの^<48>Caビームを利用し生成した中性子過剰核(^<32>Mg,^<33>Al)を同時に1kcpsの高レートで打ち込み、装置の性能評価を行った。その結果、混在する不安定核の半減期を高精度で再構成でき、かつ2台のLaBr3(Ce)検出器、液体シンチレーターと組み合わせることにより、遅延γ線・遅延中性子線のスペクトロスコピー実験を実現可能とした。 ^3He中性子測定装置:26本の中性子検出器を導入した。非常に中性子過剰領域における中性子放出確率の測定を行う予定である。 ※1...両面ストリップ型半導体検出器を9枚重ね合わせたβ線測定装置。 ※2...40kピクセルのプラスチックシンチレーターと24本の位置検出器型光電子増陪からなるβ線測定装置。
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