研究課題/領域番号 |
19340082
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
芦田 昌明 大阪大学, 基礎工学研究科, 准教授 (60240818)
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研究分担者 |
伊藤 正 大阪大学, 基礎工学研究科, 教授 (60004503)
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キーワード | 量子ドット / 光マニピュレーション / 超流動ヘリウム / レーザーアブレーション / ナノ材料創成 / ナノ構造形成 / 光制御 / ワイドギャップ半導体 |
研究概要 |
本研究では、半導体量子ドットの運動を光によって制御、すなわち光マニピュレーションし、これまで困難であった量子ドットのサイズ選択や、より一般的にその「量子力学的個性」による選別を行う手法を研究・開発することを目的としている。その最も理想的な環境場として、粘性が非常に小さく、極低温状態にある超流動ヘリウムを採用するが、その中に量子ドットを導入するため、液体ヘリウム中でレーザーアブレーションを行うことにより、半導体量子ドットを直接作製する技術も同時に獲得する。 昨年度まで主たる研究対象としたCuC1に代わり、室温でも発光が観測でき、大気中での安定性にも優れるZnOに関して実験を進めた。昨年度までのレーザーアブレーションによる量子ドット作製とその光マニピュレーションの成功に引き続き、より線幅(エネルギー幅)の狭いレーザーを用いたサイズ選別の可能性を探索した。使用するレーザーのパルス幅を100fsから1psに広げることで線幅を一桁程度狭窄化してマニピュレーションを行ったところ、サイズ分布が10-60nm程度から15-25nm程度に狭くなることを確認した。このように、サイズ選別を行うことに成功した。 また、液体ヘリウム中のレーザーアブレーションによって、マイクロサイズの微小球も作製できることを発見した。その発光は励起子による紫外成分と不純物による緑色を中心に可視全域をカバーする成分からなっており、いくつかの微粒子の発光スペクトルには、球内に光が閉じ込められることにより形成されるWhispering Gallery Mode (WGM)による構造が見られた。さらに、顕微分光を行うことで、単一微小球のレーザー発振にも初めて成功した。閾値はこれまで報告されたZnOナノロッドより桁違いに低く、非常に高いQ値をもつWGMが形成されていることがわかった。
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